ChatGPTは資料の最終承認者にはなれません。しかし、提出前の一次レビュー役として使えば、抜け漏れ・論理の飛躍・根拠不足・想定反論を洗い出せます。
重要なのは、「この資料をレビューして」と丸投げしないことです。資料の目的、読み手、レビュー観点、出力形式を渡します。
ChatGPTでできること・できないこと
| できること | できないこと |
|---|---|
| 主張と根拠の対応を確認する | 社内事情や暗黙の合意を自動で知る |
| 読み手の疑問や反論候補を出す | 数値や事実が正しいと保証する |
| 長い文章や重複を指摘する | 決裁者の最終判断を代行する |
| 観点別に改善案を整理する | 機密情報の入力可否を決める |
AIの指摘も誤るため、採用するかは人が判断します。生成AIへ入力できる情報の範囲は、所属組織のルールと利用サービスの設定を確認してください。
資料を5つの観点でレビューする
こざかな研究所では、作る前の5つの設計項目と対応させて、完成後を5観点で確認します。

- スライド:1枚の主張と見せ方は明確か
- ストーリー:順番と論理のつながりは自然か
- メッセージ:結局何を言いたいか一文で分かるか
- 読み手:疑問・不安・判断基準に答えているか
- 成果:読後に必要な判断・行動へ進めるか
誤字脱字だけを直しても、目的のずれや論理の穴は残ります。外側の見た目からではなく、設計した観点へ戻って確認するのがポイントです。
レビュー前に渡す4つの情報
1. 資料の目的
「説明する」ではなく、「試験導入の承認を得る」のように読後の行動を指定します。
2. 読み手
役職、知識量、関心、懸念、判断基準を可能な範囲で書きます。
3. 資料本文
スライドの見出しと本文をページ順に渡します。画像だけの場合は、内容を読み取れる形式で添付します。
4. 期待する出力
指摘箇所、理由、重要度、修正案を表で出すよう指定します。
コピペ用|資料レビューの基本プロンプト
あなたは業務資料の厳密なレビュアーです。
以下の資料を、指定した目的と読み手に照らしてレビューしてください。
【資料の目的】
[読後に取ってほしい行動]
【読み手】
[役職、知識、関心、懸念、判断基準]
【資料】
[スライド番号、見出し、本文]
次の5観点で確認してください。
1. スライド:1枚1メッセージ、情報量、見出しと本文の一致
2. ストーリー:順番、重複、抜け、主張と根拠のつながり
3. メッセージ:結論の明確さ、曖昧な表現、根拠不足
4. 読み手:疑問、不安、想定反論、専門用語、判断材料
5. 成果:目的に必要な結論、比較、リスク、次の行動
出力は「箇所|問題|理由|重要度(高・中・低)|修正案」の表にしてください。
資料にない事実や数値を補わず、不明点は「要確認」と示してください。
最後に、優先して直す3点だけをまとめてください。目的別の追加プロンプト
想定反論を出す
この資料に対して、読み手が承認を見送る理由を最大10個挙げてください。
「費用」「効果」「実現性」「リスク」「他の選択肢」の5分類に分け、
資料内ですでに答えている反論と、未回答の反論を区別してください。根拠不足を確認する
資料内の主張を抽出し、それぞれに根拠があるか確認してください。
「主張|示されている根拠|不足している情報|確認方法」で整理し、
推測を事実として扱っている箇所を優先して指摘してください。初見の読み手を再現する
あなたはこのテーマを初めて知る読み手です。
各ページを順番に読み、理解できなかった言葉、前提が不足した箇所、
次に知りたくなった疑問をページごとに示してください。
説明を勝手に補完せず、資料から読み取れる範囲だけで判断してください。決裁者の判断材料を確認する
あなたは予算承認を行う決裁者です。
この資料だけで判断できるかを確認し、
目的、費用対効果、実現性、リスク、代替案、責任者、期限の不足を指摘してください。
承認・条件付き承認・差し戻しのいずれかと、その理由も示してください。指摘を直す3ステップ
1. 指摘を重要度で分ける
目的や結論に関わる指摘を「高」、理解に影響する指摘を「中」、表記や装飾を「低」とします。すべてを同じ重さで直すと、細部に時間を使いすぎます。
2. 原因となる設計へ戻る
- 結論が曖昧:メッセージ設計へ戻る
- 根拠の順番が不自然:ストーリー設計へ戻る
- 決裁者の懸念に答えていない:読み手要件へ戻る
- 次の行動がない:成果要件へ戻る
その場で文言だけ直すより、原因となる設計項目を直します。
3. 修正版を同じ観点で再確認する
一度の回答で終わらせず、「前回の重要度・高の指摘が解消したか」を再チェックします。新しい表現が別の矛盾を作っていないかも確認します。

機密情報と事実確認の注意
- 個人情報、顧客情報、未公開の経営情報、契約・認証情報をそのまま入力しない
- 組織が許可した環境と運用ルールを確認する
- 入力前に固有名詞や数値を仮名化できないか検討する
- AIが示した数値・引用・出典は原典で確認する
- AIの指摘を「正解」ではなくレビュー候補として扱う
ChatGPTのデータ利用設定はOpenAIのデータコントロールFAQ、法人向けの扱いはEnterprise Privacyで確認できます。
よくある質問
PowerPointファイルをそのままレビューできますか?
利用環境がファイル添付に対応していれば可能です。ただし、図表やアニメーションの解釈は完全ではありません。重要なページは見出しと意図も文章で添えると精度が上がります。
ChatGPTだけでレビューを完了してよいですか?
おすすめしません。AIは一次レビューに使い、数値・根拠・社内事情・最終判断は担当者と関係者が確認します。
「厳しくレビューして」だけでは不十分ですか?
不十分です。誰に何を起こす資料かがなければ、AIは一般的な指摘しかできません。目的、読み手、観点、出力形式を指定します。
次に学ぶ
構成そのものを直したい場合は資料構成の作り方、決裁者の反論を先回りしたい場合は決裁者に通る提案資料へ進んでください。レビューを含む資料作成全体の本はPowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則、論理と提案を深める本はロジカル・プレゼンテーションが合います。